「大佐と同じ事が出来るかって?
 聞かなくても分かるだろ、愚問愚問。
 研究論文もノートも読まずにそんな真似が出来たら、焔なんて二つ名がある訳が無いだろ?
 火種なんて何処にでもある上に、基本的な仕組みは知れ渡ってるんだからさ、
 ……錬金術の基本は分かる?
 うん、理解、分解、そして再構成。
 大佐が扱うのは焔じゃなくて酸素だって事は?
 じゃあさ、酸素を支配下に置く為の理解って何だと思う?
 大気なんて、其の場に居る一人が呼吸するだけで成分が変わるんだ。
 人なんて居なくても良い。
 皮膚じゃ判らない程の微風でも刻一刻と変化する。
 時間場所気温気圧風力風向湿度周囲にある全ての動的要因。
 そんなもん、理解出来る方がおかしいと思わねえ?
 思うだろ?
 だから俺には無理。
 やるんだったら、大佐がアレを可能にする迄に掛かった時間と同じだけ代価を払わなくちゃいけない。
 此れでも同じ科学者だからさ、
 興味はあるよ、喉から手が出る位。
 多分、此の快楽は同類にしか判らないだろうけどね。」